医療数学者【Iatromathematician】とは

医療数学者【Iatromathematician】という単語を見かけて以来気になって仕方ないので英語の勉強がてらwikiの項目(https://en.m.wikipedia.org/wiki/Iatromathematicians)の一部の翻訳を試みました。英語は苦手なので間違いなどありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

 

 

Iatromathematicians (from Greek ἰατρική "medicine" and μαθηματικά "mathematics") were a school of physicians in 17th-century Italy who tried to apply the laws of mathematics and mechanics in order to understand the functioning of the human body.

 

医療数学者とは、17世紀イタリアの、人間の身体の機能を理解するために数学と力学の法則を適用することを試みた医師の学派である。

 

 They were also keen students of anatomy. 

 

彼らはまた意欲的な解剖学徒でもあった。

 

These iantromathematicians made an effort to prove that applying a purely mechanical conception to the study of the human body is futile. 

 

医療数学者たちは、純粋な力学的概念を人間の身体の研究に適用するのは無駄であることを証明するために努力をした。

 

The mechanical conceptions that they had referred to was Leonardo da Vinci’s studies of the human body, and the writings of Aristotle about the motion of animals related to geometric analysis. 

 

彼らの念頭にあった力学的概念とは、レオナルド・ダ・ヴィンチの人間身体についての研究と、アリストテレスの著作に見られる、動物の運動と幾何学的分析を関係づけた記述である。

 

Iantromathematicians considered the bodies functioning to be measured by quantifiable numbers, weights, and measures.

 

医療数学者たちは、身体機能は定量化可能な数値、重量、そして寸法で測定できるとみなしていた。

 

 

Iatromathematics

 

医療数学

 

The field of iatromathematics is allied to science; 

 

医療数学という分野は、科学と類似している。

 

however, it lacks the applicability of the proper scientific method and is therefore considered a form of pseudoscience. 

 

しかし、医療数学には適切な科学的方式の応用性が欠けており、それゆえ疑似科学の一種だと考えられる。

 

It applies the study of astrology to medicine.

 

医療数学は医学に占星術研究を適用する。

 

Iatromathematicians viewed the human body through astrological reasoning as well as mechanics. 

 

医療数学者たちは、人間身体について、力学だけでなく、占星術の理論も通じて検討した。

 

 

They associate various stars, or zodiac signs with the functioning of the human body. 

 

彼らは様々な星や、星座を人間の身体の機能に関連づけた。

 

The twelve astrological signs contribute to each part of the body from head to toe

 

黄道十二宮は、頭からつま先までの身体の各部位に対応する。

 

Moreover, planets and existing cosmos in space are  with certain parts of the body.

 

さらに、惑星や宇宙の天体は身体部位と相互に関係し合っている。

 

 

 Through examining a natal chart, iatromathematicians attempt to predict biological setbacks in an individual.

 

ネイタル・チャート(西洋占星術における、ある個人が生まれた時の、その個人を中心とした星の配置図)の調査を通じて、医療数学者たちは、個人における生物学的な逆行の予測を企てた。

 

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natal chart

(https://en.m.wikipedia.org/wiki/Natal_chart)

 

Iatromathematicians examine the active and energetic temperament of the human body.

 

医療数学者たちは人間の身体における活発で精力的な気質を調査した。

 

 Moreover, they explore the causes of various health problems and attempt to find ways to treat certain detrimental diseases. 

 

さらに、彼らは様々な健康上の問題を細かく診察し、ある種の有害な病気の治療方法を見つけようと試みた。

 

In iatromathematics, there is a particular assumption that there is an impact of various energetic fields caused on the star bodies. 

 

医療数学に特有な仮説においては、星体に影響を与える原因として様々なエネルギーの場があるとされる。

 

The star body of an individual is often referred to by astrologists as an energetic matrix and is believed to be spawned by heavenly bodies such as the sun, moon, planets, and several other astrological signs.

 

個人の星体とは、しばしば、占星術師たちがエネルギーの源と考えたものであり、それは太陽、月、惑星やその他の星座などの天体から生み出されると信じられていた。 

Iatromathematicians study these conceptions and try to regulate the path of the star body of individuals so that it will give a positive, rather than a negative result. 

 

医療数学者たちはこれらの概念を研究し、個人の星体の軌道を調節しようとし、それによって悪い結果でなく、良い結果を得ようとした。

 

By doing so, they believe that it will contribute to a healthier lifestyle. 

 

そうすることで、より健康的な生活に寄与すると彼らは信じていた。

 

Its doctrine is based on cosmobiology in which several emotional and physiological dilemmas in the body are associated with the positioning of celestial bodies in outer space.

 

その教義は、身体の中の幾つかの感情的で生理学的なジレンマが、宇宙における天空の身体の配置と関連付られているという、コスモバイオロジーに基づくものだ。 

Iatromathematics is closely correlated with biomechanics because the field of biomechanics investigates macrobiotic bodies to a macroscopic degree through the appliance of several engineering principles. 

 

医療数学は、いくつかの工学法則を適応することで身体の延命を巨視的観点から調査するものであり、バイオメカニクスと密接な相互関係がある。

 

The perspective of iatromathematicians differed from that of iatrophysicists and iatrochemists in terms of the way human bodies function. 

 

医療数学者たちの視座は、医療物理学者と医療化学者とは、人間の身体機能の仕方という点において異なる。

 

Iatrophysicists predicted the deviations from the biological norm of the body through the appliance of physics, while iatrochemists measured the detrimental problems of the body by chemical means.

 

医療物理学者が物理学を用いて身体の生物学的標準からの逸脱を予測したのに対し、医療化学者は身体の有害な問題を化学的な手段で測定した。

 

アリストテレス『生成と消滅について』(西洋古典叢書, 池田康男 訳)第2巻第2章まとめ 

第二章 第一の反対性質、熱と冷、乾と湿

 

テーマ:感覚される物体、触れられうる物体の始原とは何か

 

触覚に応じた反対対立のみが形相や始源である

→第一物体は触覚の対象である反対対立によって互いに異なるから
→白さ⇄黒さ、甘さ⇄苦さなどは触覚の対象ではないので違う

 

・視覚は触覚よりも先である(たいていの場合は触れるより先に目に入るということなのではないか。)

→したがって、「視覚の対象」は「触覚の対象」よりも先
→しかし、「視覚の対象」(この「対象」は見える物体そのものを指していない。「視覚の対象」は現代科学の例で置き換えて「物体が反射する光」などというふうに捉えるとわかりやすいかもしれない。)は触れることが可能な物体の属性。「視覚の対象」が触れることが可能な物体の属性なのは、その物体が触れることが可能だからというわけではない。その前に視覚の対象を属性としてもつ何ものかがある。(ものがあるということと、それが見えたり触れたりすることを区別している。)

→対して、「触覚に応じた反対対立」は「触覚の対象」すなわち触れられうる性質そのもの(おそらく

 


●触れられうる性質そのもののうち、いかなるものが第一の差異なのか

 

触覚に関わる反対対立

熱⇄冷 乾⇄湿 重⇄軽 硬⇄軟 粘⇄脆
「ぎざぎざ」⇄「なめらか」
「きめの粗い」⇄「きめの細かい」

・このうち重⇄軽は作用をなしうるものでもなく、作用を受けるものでもない

・「きめの粗い」⇄「きめの細かい」、硬⇄軟、粘⇄脆および他の触知される差異は乾⇄湿から発生する。

→きめの粗いもの(Ex. 小石)で容器を充填すると隙間ができてしまうが、きめの細かいもの(Ex. 砂)なら「湿」の性質をもつもの(Ex. 水)と同じく容器をくまなく充填可能なので「きめの細かい」は「湿」に対応。「硬⇄軟」、「脆⇄粘」も同じく「乾⇄湿」に対応し、下属する。(「乾⇄湿」の対立する性質を、他の対立する性質に投影したアナロジー関係になっている)

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・熱⇄冷は乾⇄湿に対応せず、還元されない。

 

◎ゆえに、他の諸々の差異はこれら4つの、乾⇄湿と熱⇄冷へ還元される。これら4つはもっと少ないものへ還元されることはない。

 

 

*反対対立とは

→形相とその欠如。単なる性質ではない。(註より)

→2-1 329a 「感覚されうる物体には何らかの質料があり、しかしそれは離れてあるものではなくて、いつも反対対立とともにあり、いわゆる諸元素はその質料から生じるのである」

→熱さや冷たさなどが反対対立

 

※色字はhannasaitoの解釈、意見

 

 

アリストテレス『生成と消滅について』(西洋古典叢書, 池田康男 訳)第1章レジュメ 

第1章 一元論者と多元論者  エンペドクレス説に対する批判

主な内容:アリストテレス以前の哲学者たちの生成と消滅に関する理論に対する批判的検討

ⅰ生成と質的変化を同じと考えるのか、異なると考えるのか
    

アリストテレスの仮説:

・多元論を前提とする場合⇨異なる

(多元論者:エンペドクレス、アナクサゴラス、レウキッポス等)


 →生成と消滅はすでに質が異なる複数の種類の元素の結合と分離だと考えられるので、質的変化は伴わないということになる。

一元論を前提とする場合⇨同じ

一元論者:タレス、アナクシメネスディオゲネス等)

→一つのものから様々な質を持つ全てのものが生じると考えるため、生成は必然的に質的変化を伴うということになる。

 

アナクサゴラス:

・多元論者だが生成を質的変化と同じだとみなす
アリストテレスは「自分の言っていることをわかっていない」と矛盾を批判
   
エンペドクレス:

・多元論者であり、生成は質的変化と別物だとみなす。
・4元素と、4元素の結合と分離の動因であるところの「愛」と「争い」があると考えた。愛」と「争い」も元素に含めて、宇宙(全てのもの)は6つの元素で構成されているとする。

・エンペドクレスの4つの宇宙周期:エンペドクレスは宇宙には4つの周期があると考えていた。その第一段階では、「争い」は存在せず、「愛」の結合力によって全ての元素が一つに結集して球体をなすとされる。

                

アリストテレスのエンペドクレス批判
   
 

 

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エンペドクレスの宇宙周期の第一段階①アリストテレス解釈(イメージ) 

アリストテレスは、エンペドクレスの宇宙周期の第一段階であるところの4元素が結集した球体について、一切のものがひとつに融合していて4元素が渾然一体となっている状態だと考えた。(※そう考えなくてはならない根拠があるわけではなく、誤解とされる)                   

→上記の解釈のもとでは、渾然一体となった状態から再び元素が生じなくてはならないことになるので、アリストテレスは、エンペドクレスの「元素たちのどれひとつとして一方から他方が生じるのではないが、しかし、他のすべてのものは元素たちから生じる」という主張は矛盾していると指摘。

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エンペドクレスの宇宙周期の第一段階②4元素が「愛」の結合力によって結集してもなお他のものには還元されないまま保たれるという解釈(イメージ)